第8章 愛情表現 【我妻】
「奏ちゃん…」
「ぜん…いつく…」
だんだんと善逸くんの顔が近寄ってくる。
え、近い近い!
きききキスとかしちゃうの…⁉︎
うれ、嬉しいけど、そんなっ!!
もう少しで鼻先同士がつきそうな時…
ドドド…
ん?
何?
スパーン!!
「紋逸———!!!!!」
「だあ—————!!!!!」
伊之助くんがいきなり教室の扉を開けて入ってきた。
もう一息というところでの乱入に、思わず善逸くんも変な声を上げる。
「い、伊之助くん⁉︎帰ったんじゃ…」
私も驚いていると、後から炭治郎くんもやってきた。
「伊之助!!ダメじゃないか!!こういうのは2人に任せるべきだぞ!!」
「おい紋逸!!テメェ、奏のこと大事にしろ!!」
『へ⁉︎』
伊之助くんの言葉に目を丸くする私たち。
「それ!奏の手!痛そうだろうがぁ!!!」
伊之助くんが指差す先は私の手首がギュッと握られていた。
心配して、駆けつけてくれたの?
「ありがとう、伊之助くん。優しいね。」
そう言われて、伊之助はホワホワしている。
「え゛…いや、まって。この流れで俺、悪者なの?
しかも、まさか伊之助の方が良いとか言わないでしょうね⁉︎」
「伊之助くんの方が私に優しいしなぁ…」
冗談でそんなことを言ってみると、慌てた顔の善逸くん。
「ちょ!ちょっと待ってよぉ〜!ごめんってぇ!
これからめちゃくちゃ優しくするからぁ〜!!!」