第7章 初恋 【悲鳴嶼】
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「…これが、私の初恋といえよう。」
そう言って静かに茶を啜る行冥。
「…その子とは…?」
甘露寺は口に手を当て、切なそうな表情を見せる。
他の柱達も、切ない気持ちになった。
よく、初恋は実らないとは言うが。
「連絡はとっていない。…どこにいるかは分かっているが。
それより、重い空気にしてすまなかったな。」
行冥はじゃり…と数珠を鳴らした。
「いや。話してくれてありがとうございました!
煉獄!お前もこのくらい恋でもしてみろ!飯ばっかり食ってないで!」
「む!なぜ俺だけが責められるんだ!!」
そんな会話をしながら、そろそろ…と皆立ち上がる。
『お客さん、今日はこれを持って帰っておくれ!』
店の厨房から店主の声。
そして、店の娘が持ってきたのは
炊き込みご飯。
「おぉ、今日はついてるなぁ。
そういや、悲鳴嶼さん誕生日じゃねぇか!!」
ハッとした宇髄。
「何、私の誕生日などいい。」
『おめでとうございます!』
「あぁ…。その言葉だけで十分うれしい。ありがとう。」
つー…と涙を流し、また数珠をじゃりっと鳴らす。
「良かったら俺のももらってくれ。悲鳴嶼殿の好物だろう?」
伊黒が自分の分の炊き込みご飯を渡す。
「…いいのか?では遠慮なくいただこう。」
嬉しそうに受け取る行冥。