• テキストサイズ

あなたの…【鬼滅の刃】 短〜中編

第7章 初恋  【悲鳴嶼】



それから、奏は少しずつ感情を表せるようになっていった。

また1ヶ月経った頃に、奏にどうしてここに来たのかと聞かれた。

「りょうしんが、しんでしまって。」

そう言うと、奏はすまなそうな空気を見せる。
そして、行冥の掌に指を滑らせた。

「おにに、ころされたの?」

「ちがう、びょうきで。」

母は出産の時と住職に聞いていたが、まぁこれも病気ということにしよう。


「わたしの、りょうしんは、おににころされた。」

行冥の掌に書かれた文字。
そこに確かに鬼により殺されたと記された。
噂には聞いたことがあり、住職も必ず夜になると藤の香を焚く。


「夜になると人喰い鬼が出るからな。
絶対に夜には藤の香を絶やしてはならぬ。」

そう言い聞かせられていた。



自分の家族を目の前で殺された。
心に負った傷は大きかろう。
その事が、彼女から笑顔を奪ったのだと分かった行冥は、グッと拳を握る。

その拳を見つめていた奏は、また行冥の掌を向けさせて、文字を書く。

「こわかった。かなしかった。」

彼女の悲痛な胸の内。
そうだろうな、と奏の方に顔を向ける。

「でも、いまはたのしい。
ぎょうめいくんと、なかよくなれたから。」


そう掌に書かれた。
そして、手をぎゅっと握られた。



/ 283ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp