第65章 家系
翌日の朝、教室に入ったらこの状況だった。
2人が先に教室にいるなんて……ん?
そもそも、普通に登校してるのが珍しいのか。
「…おーい、喧嘩かぁ?」
一応、ドアのところで止まってあげる。
まだ続きそうだったらどこかでサボろうと思うところ。
「…ッチ」
その舌打ちは私に向けたものか、五条に向けたものか。
千夏は反対のドアから走って行ってしまった。
何も無い開けっ放しのドアを見る、切なげな表情をスルーできる力量は私には無い。
「なんの喧嘩?」
「…術師やめる?って聞いたら、怒られた」
「あー…昨日の」
「そー。ほーんと……はぁ。困った困った」
それから、しばらくして夏油が来て。
千夏はその日帰ってこなかった。
「ったく。連絡もつかないし…。任務ってわけじゃないんだろ?」
「普通に電源切ってる感じかと」
「何したんだ」
「やだなー。千夏がキレるなんていつも通りでしょー」
先生の連絡にも出ないし。
あいつ、マジで何やってんだろ。
「硝子の電話にも出ないのか?」
「無理ー」
「…はぁ。しょうがないな」
2週間くらい前の会話を思い出す。
就寝前に、わたしと千夏は恋バナをメインとした雑談で時間を潰していた。
”え〜だってさぁ、あんなにかっこいい人いなくない?”
”まぁ。顔はいいんじゃない?顔は”
”客観的に見たら性格はかなりイカれてるって、私も思うよ?でもさぁ…ふふっ…”
性格はひねくれているけれど、千夏にはそれがちょうどいいみたい。
到底理解はできないが、千夏の気持ちは尊重する。
「悟」
「探したところで、授業終わったんでしょ」
「それでもいいから行け」
「…ほーい」
過保護な先生に過保護な同級生。
「先生、千夏のこと大好きだねー」
「大切な生徒だからな」
自分がどんな表情をしていたか分からない。
「…もちろん、お前もな」
「はぁ?さすがにキモイ」
同情?
いらんわ、そんなもん。