第64章 生き方
「…ウルハが来たら、まず和田さんが運を貰って。できるだけ沢山」
「それなら先輩も…」
「私はダメ」
ウルハの術式の本質は運を分け与えることでは無い。
運を采配することなのだ、とウルハは控えめに言っていた。
この本質がバレてしまったら、どんなに隠れて生活していても呪術界から逃げられない、と。
「沖縄でたくさん運を分けてもらっちゃったから」
「…?もう、分けて貰えないんですか?」
「簡単に言うと、そう」
灰原が運を貰った際には、運をウルハの延命に使い、自らの死に還元した。
私が運を貰った際には、同じようにウルハの延命に使い……そのツケは、死に相当するほどのツケは、まだ帰ってきていない。
「それで、ウルハの可能な限り、ウルハが許す限り、みんなに運を分けておいて。何が起こるかわからないから」
上目遣いの和田さん見て、意識せず微笑んでしまった。
「…本当に死ぬ気ですか?」
「あれ、死んで欲しいんじゃなかった?」
「そ、そうですけど…」
…。
「…死んで欲しくない?」
ずるい聞き方だっかな。
「……先輩が死なないと、私は殺されちゃいます」
でも、
「先輩のことは好きです、人並み程度ですが」
こうやって素直に好意をぶつけられることには慣れていない。
一生慣れないのかもしれない。
「…変な奴」
「私もそう思います」
でも、悪い気はしない。
ほんの少し、そう思ったときだった。
「「『っ!』」」
斬撃が私の腕を切ったのは。