第64章 生き方
千春のアドバイス通り、先に不安を消しておくべく、悠仁を探すことにした私は、とりあえず中心部へ戻ることにした。
全力で走ると千春がついてこれないから、ある程度の速さで進む。
自分のことを足でまといだと千春は言っていたが、千春を置いていく方が私のためにならない。
「誰ともすれ違わないね」
「…そうだな」
呪霊も人間もいない。
帳がなくなったおかげで、最初に張られていた帳がどこにあったかも分からない。
分かるのは、悟と一緒に入った帳の位置だけ。
「疲れたなら休む?」
「…そんな時間が無いのはわかってる。気にするな」
「無理はしないでよ」
「分かってる」
「先輩!!!」
背後から声が聞こえてコンマ数秒後、人肌を感じる距離に人が現れる。
「っ…」
「すみません、驚かせました?」
和田さんだった。
もし敵だったら確実に殺されていたはず。
「……はぁぁ!死んだかと思った」
「ははっ。いつも通りみたいでよかったです」
どうやら、外にいる一般人の誘導が軌道に乗ってきてこっちに来たみたい。
道玄坂の方では棘が頑張っているんだとか。
「それで、なんで声掛けたの?」
「え、ダメでした?」
「……急いでるんだけど」
早く悟を助けないと。
少しだけイライラした様子を出してしまった。
「いやいや、私が先輩の邪魔をするとでも?」
「じゃあ何」
「ウルハ、そろそろ着く時間ですよ!」
ウルハ…。
ウルハ…!!
「あの子の術式、結構有能だから先に会いませんか?」
東京に帰ってきて、1度だけウルハと通話をした。
主に、昔の話とお互いの術式について話したのだが、途中からゲームの話になってしまって、ほとんど目的の話はしなかった。
ウルハの術式は運を操る。
けれど、その代償は小さくない。