第64章 生き方
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「…大丈夫っスかね」
「さぁ」
走るのでもなく、ゆっくりと歩いて進む。
途中から彼女の術式を使うんだろうけど、とりあえず外に出ないと何も始まらない。
「五条さんの件が効いて…」
「元々不安定だったし。会話できてるから多分大丈夫よ」
本当にやばい時は会話をしてくれないから。
そもそも、あの時がMAXでやばいと思っているけれど、もしかしたらまだまだ堕ちることができたのかもしれない。
「さて。そろそろ術式使いますよ」
と、その時だった。
「釘崎!」
聞き覚えのある声が上から降ってきた。
鵺だ。
「千夏さん、借りてもいいか!」
焦りの様子。
それに寄せるは、片手で数えられる数ヶ月の信頼。
「いいぞー。もってけー」
急降下した鵺から飛び降り、彼女の横に降り立つ。
「禪院先輩は」
「今は一緒にいない。多分まだ地下」
会話の様子を横で眺める八乙女姉妹。
しかし、まぁ…よく似ていること。
「千夏さん、一緒に来てくれませんか」
「何すんの?」
「禪院先輩に呪具を。本来、一緒に行動すべきだったんです」
今の真希先輩、ほとんど丸腰みたいなもんか。
確かに、優先順位は高い。
「いいけど…」
「あー、私らのことなら気にすんな。2人で行けるから」
「千春…さん?にある程度治してもらったんで、私も動けるっス」
千春、という名前を聞いて、伏黒の顔が固まった。
私も詳しいことは知らないけれど、彼女の姉は既に死んでいたはず。
まさか、虎杖みたいなことが起きたとは思えないし。
『待て』
千春さんが伏黒の手を握る。
「…なんすか」
『…いや?宿儺はどうした』
それだけ?
意味もなく他人の手を取るか?
千春さんのことがよく分からない。
「別行動です。狩野さんh」
『知ってる。無事だ』
「……この手は?」
『ああ、すまない』