第64章 生き方
大葉紅の知識は、千春の頭の中にある。
千春が言うには、あの鍵と言われる傑からのプレゼントは、あれほどの術師が閉門した際には役に立たないという。
つまり、偽物の傑は私に嘘をついた。
「2人はここで救護を待って下さい。私は禪院さん達とB5Fに向かいます」
となると。
悟を助け出す方法は限られた。
千春は「まだ他の方法がある」とか言って教えてくれないけれど、どちらにせよ今は動くべきでは無いらしい。
それなら、私は誰かを守るために動く。
「私も」
「駄目です」
「それは駄目」
つまりは、そう。
野薔薇をこれ以上ここにいさせたくない。
「ここからの戦いは1級(私)で最低レベルです。足手纏い。邪魔です。ここで、待機を」
グサグサと刺さる言葉を放つ七海ちゃん。
野薔薇にはこの位でも足りないくらいだ。
『私達は?』
「任せます。どうしますか」
質問したのは千春なのに、私に質問を返してきた。
千春が私主導で動くことを、早くも理解している。
「…救護を待ってたら遅くなる。私が連れてくよ」
「いいって。あんたも一緒に行きなよ」
いちばん安全な場所。
それは硝子のところだ。
彼女なら何があっても野薔薇を守ってくれるだろう。
「分かりました。では、一旦別行動ということで」
「七海さん。こいつのこと連れて行って。私達なら大丈夫ですから」
大丈夫、とかではなくて。
「…と、言っておりますが」
「七海ちゃんと共闘なんて、私には向いてない。でしょ?」
七海ちゃんは厳密に戦う。
私は自由奔放に戦う。
「そうですね。貴女とは共闘したくない」
「それなら、行った行った!真希のこと頼むよ」
「はい」
七海ちゃんとの共闘か…。
昔より成長しているけれど、お互いの戦い方に大きなギャップがある。
けれど、もう一度してみたい。
それは今じゃないけど。
「さて、2人とも。移動しようか」
「はいっス」
「…納得できないんだけど」
「どの辺が?」
「戦えるなら戦えよ。本気、見たことないけど、強いんだろ?」
強い。
その言葉に口が緩む。
「…行こっか」
「「…」」