第64章 生き方
「新田さんの所へ向かいましょう」
そうだね、と応える前に千春が新田ちゃんを連れてきた。
「誰?」
「千春」
「は?」
「私の長い説明聞きたい?」
「絶対嫌」
千春は私の近くにいれば、私の呪力を使用することができる。
つまり、新田ちゃんの傷をある程度治せるのだ。
「すみません、ありがとうございます」
『パフォーマンスが落ちて迷惑をかけられたくないからな』
野薔薇が顔を顰めて私を見る。
言いたいことはよくわかる。
でも、これが千春だ。
「まずは情報交換ですね」
「あ、はい。伊地知と通話中に突然切られたんで、何かあったと思って。それで、釘崎さんとここに来たって感じっす」
「なるほど。現在の状況についてどのように把握されてますか?」
「とにかく呪霊が凄くて。離散の合図から、新しいものは…」
七海ちゃんと千春。
2人が同じタイミングで私を見た。
言いたいことは伝わる。
でも、私の口からは言えないから、自分の爪を眺めてパスした。
「簡潔に今の状況を説明すると…。五条さんが封印されました」
「「はい?」」
「伊地知は無事です」
いい事と悪い事を同時に伝える技術。
後にいい事を持ってきたのはいいけれど…。
「じゃあ、伊地知さんは無事なんスね!!」
「できる限りのことはしましたし、彼も元々は術師を志していましたから」
新田ちゃんの目には焦りが。
3秒に1回ほど、それがこちらに向く。
「でも、やはり五条さんのことはそちらに伝わっていなかったのですね」
千春が小声で「どうにかして五条悟のことは広めないとな」と。
確かに、全術師が彼の元へ行くことが望ましいが、そうなったら交流会のようなことが起きかねない。
「私たちはすぐに室内に入ったので、そのせいっスね」
「封印されてもねばるあたり五条っぽいわね」
ムスッとした野薔薇がこちらを睨む。
「なんかあったじゃん、バカ」
「知ってるかと思ったの」
「知ってたら真っ先にお前に聞くわ」
「はいはい、ごめんなさい」