第63章 望まれた暁には死を
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悟のお父さんが自分の父親であることを、徐々に噛み砕いて飲み込めてきて、段々と今までのことが整理出来てきた。
多分だけど、パパは私のことが嫌いなのだと思う。
上との繋がりが強いのは言わずもがな。
ということは、私の学生時代の多忙の原因はパパであった可能性がある。
それに、悟が言っていた暗殺計画。
あれもパパなんじゃないかと、勝手に想像してる。
そんでもって、悟はこれらの事実を前から知っていて。
……ああ、想像するだけで目頭が熱くなる。
生きていてごめんなさい。
今までは他人に死を望まれてもどうでもよかったけれど、不思議と今はこんな言葉がスラスラ流れてしまう。
私のせいで、色んなことが…。
…メンタルが弱っているのだろうか。
「お、着いたね。なんも変わってない」
「…着いた」
当たり前に、ママは正門をくぐろうとする。
私にとって、それが特別な行いであることを知らずに。
「どーやって入る?」
「誰か呼び出してママの顔見せたら?」
顔パスが効くならそれを利用したらいいと思うのだけど、ママは嫌そうな顔をする。
でも、すぐに吹っ切れたらしく、そうしようと言って閉じた門を叩き始めた。
「あれ。今って何時?」
「9時くらい…。夜の」
「こーんーばーんーはー!」
帳の中、外、中、外。
色々と移動しすぎて、空の黒さが時間によるものなのか、帳によるものなのか、はたまた他のものによるものなのか、判断が鈍っている。
「誰も来ないし」
「一人もいないなんてことは…」
「どちら様ですか」
家の人は揃いも揃って人当たりがいいのに(……やっぱり、一部を除く)、こんなにもトゲのあるお出迎え。
木の扉の向こうから声がする。
どちら様、の答えに、ママが答えろと指示する。
女性の声であったから、私の名前を言っても大丈夫だろう。
「や、おとめ、千夏です」
「…ち、千夏さん?」
「少しお邪魔したい用事が…」
「は、はい!今開けますね!」