第63章 望まれた暁には死を
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最強と特別。
言葉が違うのだから示すことも違うことは分かる。
でも、その違いを説明するには辞書的な意味を引き出さないといけない。
これらが似ているのは包含的で────
「…千夏ちゃん?」
徐々にスピードが遅くなっていると思ったが、ついにその足は止まる。
「どうしたの?」
『無視していい。進もう』
なんかブツブツ言ってるし。
怖いから千春ちゃんに従う。
「あの子、大丈夫?」
『大丈夫じゃない』
「だよね。五条悟くんのせい?」
『それもあるが、お前の存在、父親のこと……あとは呪霊になった人間を祓う…殺すこと。この場における全てがストレスに繋がってる』
「呪霊になった人間?」
ここ30年ほどこの世とは違う場所にいたから、正直こうして話についていけないことも沢山ある。
けれど、その全てを知るには時間が無い。
「…どうする。休む?」
『進む』
「千夏ちゃんが本調子じゃないと、領域展開は…」
『それでも進む。じゃないと、あの子はもっと後悔する』
後悔することは前提のような言い方。
完璧以外の結果の全てに満足しないタイプの子なのだろうか。
「…まぁなんでもいいけどさ。千春ちゃんは大丈夫なの?」
『私?』
千春ちゃんのような前例が全くないわけではないが、私が知る範囲に詳しい記述はなかった。
だから、千春ちゃんがどのように存在して、どのようなことができるのか。
良いようにいえば、可能性は無限大。
「もう限界でしょ」
でも、永久に存在できるはずがない。
『…』
「その姿になって何年?」
『…大体24年だ』
「にじゅ…!?」
まさか、そんなに長い間怨霊として生き、千夏ちゃんのそばに居たとは…。
「…突然消えたら、悲しむのは千夏ちゃんだよ」
『消えない』
「あのねぇ…」
『寿命で死ぬまで一緒にいる』
この子は賢いと思っていたけど、千夏ちゃんが絡むと途端にロジックを捨てる。
「…呪いになってもいいってこと?」
『……ああ。千夏以外がどうなろうと、どうでもいい』
実の姉妹でないくせに、どうしてここまで執着できるのだろう。
愛なんてくだらないものを理由にされるのは嫌だったから、理由は聞かなかったけれど。