第63章 望まれた暁には死を
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帳が壊れたということで、私たちも中に進む。
止められたけど、私だけ比較的安全な場所にいるのは気に食わない。
「新田ちゃ…」
『おい』
と、見知らぬ声が聞こえる。
「なっ…」
『釘崎野薔薇』
「な、に」
『引き返して、一般人の誘導にまわれ』
呪霊?
けれど、陰湿な雰囲気は感じない。
ただ感じるのは、素晴らしいほどの威圧感。
『千夏がそれを望んでる』
「…あんた、千春、さん?」
あいつの姉。
初めて姿を見た。
”千春は綺麗だよー”なんて言っていたけれど、なんら呪霊とそう見た目が変わらない。
『頼む』
「嫌ですよ。私も…」
『千夏をこれ以上不安定にさせないでくれ』
なにさ、すぐやられるみたいに言っちゃって。
私が役立たずの弱っちいやつみたいじゃないか。
まぁ、あいつに比べたらそうだけど。
「死ぬのも生きるのも、私が決めます。自分で決めた選択で命を落とすなら、それは仕方ないと思ってる」
『そう。でも、千夏はお前に生きて欲しいと思ってる』
「なぁんか…それが気に食わないんすよ」
生きて欲しいと願ってくれるのは、本当に嬉しい。
でも、
「あいつに言われて引き下がるのだけは、絶対に嫌」
例え、私よりも上の階級で、指示を仰ぐ必要があっても、あいつの言葉で動きたくない。
『おい!』
「新田ちゃん、GO!」
私のことを大切にしてくれて、嬉しい。
私のことを心配してくれて、感謝してる。
でも、ここで何もしなかったら、私は私を許せない。
「ごめんね、千春さん。あいつに謝っといて」
私がこんなことを言うと、「ならしゃーないな」って言ってくれるだろう。
でも、その手は私の手を離してくれないだろう。
本当に止めたいなら、自分で来ればいい。
お姉さんを寄越したってことは、そういうことでしょ?
向こうできっと、あいつは戦ってる。
直接手助けをすることは出来ないだろうけど、あいつの夢を守る手助けはできる。
手助け、させてよ。