第63章 望まれた暁には死を
「千春ちゃん。もしかして呪術界のヒエラルキーって、変わったの?」
『いや』
「…それなら、あの御三家の血が流れてるんだよ?千夏ちゃん、色々な面で優遇されるよ?」
優遇かぁ…
悟もされてたもんね。
『お前、1回黙ってろ』
「少しくらい探ってもいいでしょ。まぁ、今ので大体わかったけど。私、無神経だったわ、ごめんね」
…。
「千夏ちゃん?そろそろ話戻したいんだけど、頭大丈夫そ?」
「… うん。大丈夫だよ」
深くは聞いてこないあたり、本当に分かったのかな。
ママは私と違って頭がいい。
私も努力をしていれば、頭が良くなったのかな。
「今のところ、術式を無効にできないし、本人は開門する気がない、と」
『そう』
「その人がね、『鍵を持った呪霊を見つけたら開けてあげる』って言ったんだけど……あ、今はあの帳の中にいると思うんだけど、もうすぐ壊されちゃうから…」
「なるほど。だから、探すのは諦めて他の方法を探すのね。でも、もうすぐ壊れるってわかるの?」
「私の友達が壊そうとしてるから」
母は……いや、この人はこの数分だけで分かってしまうほどに優秀だった。
「…千夏ちゃんって、烈日術式のこと、どこまで知ってる?」
「ほとんど知らないから適当に使ってる。調べても分からなかったから」
「だよねぇ…」
千春は変わらず頭を撫で続けてくれる。
もう大丈夫、と言うと撫でるのは止めてくれたけど、離れてはくれなかった。
「…もし、今この世に”術式を打ち消す呪具”がないなら、”術式を打ち消す術式”を使うしかない」
「そんなのあるの?」
「さあ。少なくとも、千春ちゃんの反応的に身近な人にそんな人はいないって感じね」
だって、そんな人がいたらなんでもでき────
「でも、存在しないとは言い切れない」
ここまでは導入の話に過ぎないことを示すように、ママは私の理解度を確認した。