第62章 私がそう言った
”…お前の親友だろ”
”そう。でも…彼の行いは裁かれないといけない”
私は千夏と彼が過ごした日々を知っている。
どれだけ大好きだったかも知ってる。
”それは上がやってくれる。わざわざ千夏がやる必要は”
”違う。私達がやらないとダメなの”
”どうして”
けど、彼のことが大好きである故
”え?だって…私と悟以外に傑を殺せる人いる?”
千夏は彼の強さを誰よりも知っていた。
けれど、私は2人以外の答えを知っていた。
”私がいるだろ”
千夏の手を汚さないために、私がいるんじゃないか。
今までだって、そうしてきたじゃないか。
”千春には無理だよ”
その判断の理由が、本質をついているのなら褒めてやる。
私と彼の相性について触れたら、その覚悟に納得してやる。
”…理由を聞かせてもらおうか”
”だって…。千春の、家族なんでしょ?”
家族…。
間違ってはいない。
でも
”だから、千春には殺せない。殺させたくない”
慈悲。
”千春は生かそうとするよ”
”どうして言い切れる”
”知ってるから。何があっても私の事守ってくれた事実がある”
違う、それは──
”……あいつは人間だぞ?”
”知ってる”
”呪霊を祓う…いや、殺すのとは訳が違う”
”だから、その覚悟を今準備してるの”
ダメだって。
千夏はその考えすら持ったらいけないんだ。
”私はっ!千夏だから、千夏だから…!千夏のためなら、何でもするっ!!”
”……うん、ありがとう”
通じない。
私の想いが、少しも。
”ダメ。許さない”
”…私が傑を殺すこと?”
”そう”
厳密には生命をその手で殺めること。
”じゃあ、千春が殺すの?”
”違う。私に夏油は殺せない”
私は怨霊で、あっちは呪霊操術をつかう。
相性最悪だ。
それに、夏油の強さは知っている。
”…ダメだよ、殺さないと。アイツは悪いやつなんだから”
ここで千夏との誤解を解ければ良かったんだ。
けれど、私はその誤解に気づくのが遅かった。
”千春〜…千夏、誤解してるよ?”
”うん。千春が血縁を理由に彼を生かそうとしてるって、誤解してる”
”はっ……なんだそれ”
少し離れた位置で拗ねる千夏。
その背中はやはり大人の体相応のもので。