第62章 私がそう言った
”きゃはっ……見てよ見て!”
”…泥まみれじゃん”
”洗えば落ちるもん”
それから、月日は流れ。
千夏は登校日を増やしながらも時折学校をサボり、五条家に行っては五条悟と遊んでいた。
最初は激怒していた大葉初枝だが、次第に優しくなり、今では2人のことを黙認している。
ここではあまり目立てないため、何かあったときに困るけれど、五条悟の警戒と機転のおかげで、今の所困ったことは無い。
そして、あれほど怒られていたのに、最近では大葉初枝の目を盗んで外に出て遊ぶという悪事を再開させた2人。
外での顔つきはまた違って、開放感やらに満ち溢れていた。
”ははっ、もっかいやろーぜ”
'”いーよ”
”…なにこれ。本当に食べ物?”
”そうだよ。ここをペローって…”
”……あま”
”五条くんは……学校にお友達いる?”
”千夏と違ってまぁまぁいるよ”
そして、2人の間に芽吹くものもあった。
”……じゃあさ、かれし?とかいる?”
”彼氏?彼女じゃなくて?”
”何が違うの?”
”性別。なんで突然…”
それは誰も教えてくれない。
けれど、いつの間にかそこにあって、心を揺さぶってくるもの。
”お母さんに『五条くんは彼氏なの?』って聞かれたから”
”…なんて答えたの?”
”かれしってなぁに?って聞いた。分からなかったから”
”そしたら?”
”千夏にはまだ早かったね、って笑うんだよ。酷いよね、子供扱いしちゃって”
”千夏は特に子供っぽいしね”
千夏は自分の感情に鈍感だったから、「好き」は好き、「嫌い」は嫌い。
それ以下でもそれ以上でもない。
でも、五条悟に他とは違う、何かを感じていることは自覚していた。
そんな中────
あの事件が起きる。