第62章 私がそう言った
大葉初枝。
彼女が姿を現した瞬間、──ちゃんと名付けられた呪霊の呪力量が増した。
それは軽視できるものではなく、これ以上は野放しにできないほど。
五条悟と言っても、まだまだ子供。
千夏にバレないように、そっと祓ってくれるなんていう期待はできない。
それに、この子は千夏のお気に入りだ。
だから、私が祓った。
千夏の混乱、暴走を最小限に抑えるために。
”こんなところで何をしてるんですか!?”
”…ごめん”
”また…!この子ですか…!!”
この子、と呼ばれた千夏は、──ちゃんがいなくなった跡をぼぉっと眺めていた。
まだ何が起きたのか理解していないのだろう。
”………まだ私しか知りません。学校に戻りましょう?”
”……ごめん”
五条悟が連れていかれる。
千夏はそれを引き止めようとした。
でも。
”坊ちゃんに関わらないでくださいまし!”
その強い一言は千夏の腕を引っ込めさせた。
五条悟はチラッと千夏と……そして、私を見て、そのまま歩いていく。
私は千夏と離れられない。
この一言で千夏がめげなければ良いと思っていたが…
”──ちゃんも五条くんも行っちゃった…”
”明日はどうする?”
”ん〜。五条くんの家行く”
”…関わるなって言われてたけど?”
”五条くんは言ってないよ?”
この子のメンタルは鋼だった。
”あのおばさん、好きじゃな〜い”
”そっか”
”でも、くふふっ…”
”笑い方”
”あ、ごめんなさい”
鋼にさせたのは……鋼と取り繕うようになったのは……
”お昼かぁ。学校行く?”
”千夏が行きたいなら”
”じゃあ、保健室で給食食べよ!”
”ああ、分かった”
何故──ちゃんが凶暴化したのか。
私には心当たりがあった。
けれど、それは────
あまりに残酷な仮説だった。