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【呪術廻戦】infinity

第9章 陳腐な七色、儚い紅


五条が私の肩を掴む。



「私が頼んだの」



どう頑張っても泣かないなんて不可能だ。

これによって、益々五条は必至な顔で訴えてくる。

それ以上言うな、と。

ここで”千夏”になるのはやめろ、と。



「みんなと一緒にいるためには、これしか方法がなかった…!」



だから、せめて言葉遣いだけは残しておいた。

私の理性を残すために。



「どういうこと?どうして…」

「硝子。ストップ」



傑が一歩前に出た。

そして、私の顔を覗き込むようにしゃがみ込むと、指を一本立てた。



「もしかして、前に話したこととつながってる?」

「…うん」



「おい、ちょっと待て」



五条が考えていることは分かっていたので、先制して言った。

傑がどこまで知っているか。

私が何を話したのか。

それを聞きたがっているんだろ。



「私が特級術師であること。私が……」

「千夏が自分をつくっていること」



思惑通り、私と傑の二言を聞くと、五条は言葉の続きを話すことはなかった。


もう耐えられなかった。

私の限界が近づいてきたのと、五条が私を包んでくれたのはほぼ同時で。

幸い私の醜い顔がみんなに晒されることはなかった。



「ちょっと。置いてかないでよ」

「硝子には後で俺から話すよ。いいな、千夏」



私の承諾は声になったのだろうか。



「なんで夏油から…!」

「今の千夏が話せるとは思えない。でも、早く知りたいだろ?」

「…分かったよ。知ってるところまで全部教えろ」

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