• テキストサイズ

【呪術廻戦】infinity

第9章 陳腐な七色、儚い紅


「あー、もう俺、先戻ってるからなー」



しんみりした雰囲気の中、五条が声を上げてくるっと背を向けた。



「どこ行くの?」

「どこだと思う?」

「分かるわけないでしょ」



立ち止まった五条は踵を返し、私の耳に手を添えてささやいた。



「みんなで花火するんだ~」



夢の余韻が残っていたか、単にさっきまで考えていたからか。

夏を象徴する単語に瞬時に反応し、目を輝かせる。



「えっ!いいな!」

「千夏も強制参加だから」

「強制されなくても行く、やる!」



五条と輪をつくって飛び回る。

ねずみ花火と線香花火はあるだろうか。

そんなことを考えていたら、視界に二人の姿が入った。



「硝子たちもくる!?」

「まぁ…」

「よっしゃー!久しぶりにみんなと過ごせる!」



無理やり硝子の手を掴み。

一方では五条が傑の手を掴み。

大きくなった輪で、再度飛び回る。



「千夏。私たちの話はまだ終わってないんだけど」

「え、あ…うん」



徐々に速度を落とし止まる輪。

メリーゴーランドに乗ったときにも、似たような残念感を感じる。



「えっと、話すと長くなるんですが。簡単に言うと、少ーし暴れちゃって、上の方々に目を付けられまして…」

「それくらいなら、あの先生が教えてくれるはず」

「嘘つくな」

「ついてないよ。やだなー」



あははと笑いながら、次の嘘を考える。

こんなことで二人が信じてくれないことは分かっていた。

本当のことを言えるなら言いたいけれど、これ以上尺度のおかしい任務に巻き込まれたくない。

そろそろ理性を保てなくなる。



「……」

「……」「……」

「…私が頼んだ」





「千夏!」





/ 1115ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp