第61章 封
あの日、私がホッピングをやりたいなんて言わなければ
〈いーい?千夏は千秋の妹なんだから、言うこと聞かないとダメ!〉
2人の命は守られたはずなんだ。
《…一緒に読もう?千春には内緒……へへ、大丈夫だよ》
私が、私が────
『っ…』「…」
あの日、簡単に奪われた2人が、今目の前にいる。
あのころの姿のまま、こちらを見て立っている。
『クソっ』
「ダメ!」
何をしようとしてるの?
相手は千秋と千冬だよ?
『でもっ』
「…でも、じゃないよ」
膝をついて腕を広げれば、2人は何かを確認しながら歩み寄ってくれた。
その手に持たれるは、物騒な呪具だったけれど、別に良かった。
『馬鹿!』
そんな私の気持ちとは裏腹に、千春は彼女達に向かって攻撃を仕掛けた。
『術式を解くな…!正気か!?』
頭では分かっていた。
けれど、上手く言葉が出てこなくて、千春の顔を見ながら首を横に振るだけ。
涙がじわっと溢れてきた。
すると、気付かぬ間に呪詛師が近づいていて、私の顔目掛けて拳を下ろす。
千春の手助けもあり間一髪で避けることが出来たが、私はその先から足が動かなくなった。
『コイツらがやろうとしてることは分かってるだろ…!?』
「…」
『お前の弱さはみんな分かってる。そこにつけ込まれることくらい…!』
「…も、なにも、言わないで…」
年頃特有の歩き方で、千秋と千冬もやってくる。
公園で遊ぶような、あの無邪気な笑顔で私を殺そうとしてくる。
「や…」
『……許せ、千夏』
ダメだよ!
そんな一心で縋り付くけれど、千春の体は千春次第。
スルッとすり抜けて、私はコンクリートに崩れ落ちた。
そんな千春は2人の首をガッと掴んで、屋上の端でぶら下げる。
苦しそうにじたばたする2人を見ては、心が張り裂けそうになる。
「ダメ…」
『…』
2回も、千春に殺しを行って欲しくない。
そう思った刹那、2度目の光線が空から落ちてきた。