第61章 封
「あっ、悟のこと殺そうとした人?」
「…ふっ」
「…チッ」
思い出すだけで腹が立ってくる。
悟を殺そうとして失敗して、挙句の果てに私のことを誘拐して。
一緒に組んでいたであろう人は千春(私)が殺してしまったけれど、悟と帰る時に誰かがつけていたということを、悟は知っていた。
「私…たちは……何も…悪いこと…してない……のにっ」
『落ち着いてやりなさい』
「落ち着い…てっ」
『千夏』
「分かって…るっ」
生まれてから初めて凶器向けられ、さすがの私でも困惑した。
それに────
ホロリ────
あ。
だ、
『千夏っ』
なんでこんな時に思い出すの?
ああ、こんなときだからこそ、だ。
私の頬に涙が伝った時を同じくして、1本の光が空からおばあちゃんに向かって落ちた。
『…そんな顔、千夏に似合わないよ』
知ってるよ。
私だって泣きたくない。
「ごめっ、千春、無理。代わりにアレ…」
『悪いが、今はお前から離れるつもりはない』
「なん、」
『来るぞ』
孫の内の女性が子供達に何かを飲み込ませる。
子供たちは顔を歪ませながらも必死に飲み込んでいた。
(千春…?)
きっと千春は何が起こるか分かっているのだろう。
そして、ソレが私に及ぼす影響までも…。
「八乙女千秋、八乙女千冬」
『ッチ……2人同時かよ』
え?
今、千秋と千冬の名前が聞こえたような…。
『いいかっ、あれは違うからな。迷わず殺せ…!』
いつにもなく必死な千春。
私はまだ状況すら飲み込めていない。
孫と呼ばれた子供の体が、徐々に変化していく。
徐々に、徐々────
〈もぉ!千夏はお転婆さんね!お姉さんのゆーこと聞きなさいっ〉
《…千秋もだよ》