第61章 封
「千春のことは大好きだけど、何も説明しないで頑固なところは本当に大っ嫌い」
『今日は不満が止まらないな』
「こっちだって言いたくない」
私が優先したいのは、悟を救うこと。
その過程で、誰も死ななければいい。
帳を壊さない方が中に呪霊を閉じ込められるから、終わりがあっていいと私は思うのだけれど。
「まぁ、千春のことだから何かあるんだろう」となってしまうから、そんなことは言わない。
今までもそうしてきたのに、なんだか今日は腑に落ちない。
『安心しろ。さっきの人達は絶対に襲われない』
「なんで言い切れるの?」
とりあえず、大通りの様子を見るために、近くの建物の上に移動しよう。
『1年前。現高専2年生救う時、何をした?』
”君との時間は楽しかったよ。今も、昔も”
余計なことまでを思い出すな、バカ。
「できたの?」
『千夏の呪力を借りた』
「ふぅん」
ならいいや。
『疑わないのか?』
「千春はくだらない嘘はつかない」
と。
(危ない危ない、呪力抑えないと)
どさくさに紛れて秘密裏に何かを行うのは、上の得意分野だ。
今、殺されて堪るか。
悟を救えるのは────
「八乙女さん!」
右側に真っ直ぐ伸びる大通りから、私の名前が聞こえた。
(恵…、それに悠仁も。あと1人は知らない)
2人には伝えておくことがあるし、1度合流しておこう。
悟が封じられたなんて、この世の終わりだから。
急いでビルから降りた私は、3人の元へ走ること約2秒。
知らないひとりが凄く嫌そうな顔をしていたが、いつもの事なので気にせず2人に話しかける。
「3人とも…」
「五条先生が封じられたのは知ってます」
え?
「七海さんに言われて、今はこの帳を壊そうとしてます」
「五条先生のことはメカ丸から聞いた」
七海ちゃんもこの中にいるのか。
そりゃあそうか。
彼は1級呪術師で、巨大な戦力である。