第61章 封
「一体何がどうなって…」
「大丈夫。みんな守るから」
呪霊が強くなっているのなら、辛うじて生き延びていた人も限界を迎えるだろう。
「あんたは…」
「お喋りは後」
人間と呪霊を選別し、この人がいる場所にとりあえず集める。
呪霊を引き寄せる私はそこから離れて、引き連れたまま遠くへ行く。
『帳の境界へ向かえ』
「いいけど、私が出たらこの子達は…」
『大丈夫。行け』
再びあそこで呪霊が湧いたら今度こそ終わりだ。
千春には残ってもらいたかったけれど、私に付いてくる気満々な様子。
『私が合図したら外に出ろ』
経験はないけれど、私がここからでたらこの子達はみんな各々行動を始めると思う。
そしたら────
『まだ…』
いつ瞬発的に襲いかかってくるか分からないのに、ギリギリまで粘る。
もう
目の前に、呪霊が……
『出ろ!』
後ろに一歩下がって、ぬぷっと帳の外へ出る。
徐々に千春の姿に影がかかって、真っ黒な壁となる。
(千春…)
千春は死なないらしいけれど、それでも心配だ。
それに、先程の一般人達も。
あんな距離で、仕事とかの理由が何も無い、何の関係もない人が話しかけてくるなんて、いつぶりだろうか。
(…外側は案外平和)
帳の中が悲惨すぎたのもあるのかもしれない。
普段とは違うけれど、帳の中よりは安心感がある。
(落ち着け…私は私だ)
何があっても理想は崩さない。
どんな人も命は平等、みんな守られるべきなんだ。
『千夏』
「あ、おかえ」
『飴缶、ありがとう』
「え!?いつの間に…」
さっと腰に僅かな重みがかかる。
いつ取られたんだ?
千春は絶対に帳内で何かしたはず。
どっちにしろ、傑の呪霊もこの中にいるから戻ろうとしたのだけれど…。
『1度こっちを探そう』
「…何隠してるの?」
『あの人らを救うにはこの帳を壊す必要がある』
私が中に入ろうとしても、千春が壁になる。
それを何回も繰り返す未来が見えたので、すんなりと諦めた。
けれど、納得したわけではない。