第61章 封
「…な、にこれ…」
普段は歩けない線路の上に、少し感動を覚えながらも、普段私たちが利用する付近の駅ロータリーへ向かったのだが…。
「地獄かよ…」
呪霊は好き勝手暴れ、人間も逃げ戸惑い…。
既に血飛沫が至る所にあり、死体が何体も転がっていた。
様々な悲鳴が聞こえる中、私はやはり人間を優先してしまう。
「ごめんなさい…」
呪霊を殺すこと。
痛手を負った人間を治療すること。
私の体がいくつあっても足りない。
「千春、呪言貸して」
『無理。そこまでの力は解放してくれなかった』
「千春ならできる。頑張って」
『おいおい…無茶言うな』
今の術式では人間と呪霊を区別できない。
呪言でみんなの動きを止められれば、この場にいる生きている全ての人を救うことが出来る。
『反転術式ですら使えないのに』
「お願い」
『…』
”ね〜ちはるぅ、このお菓子食べてもいい?”
”お母さんに怒られるぞ”
”お願い。ダメ?”
『…やってみよう』
やった。
この人は昔からこの戦法にめっぽう弱いのだ。
『ただし、千夏も手伝え』
「いいよ」
とりあえず、自分の呪力を高めて、一般人からこちらに的を移す。
そうすれば、私があまり動かなくてもよくなるはずだ。
『私が封印された時、そして先程封印を一部解除された時』
「うん」
『この一連の流れより、すごく簡単に言うとだな……今回の件は単なる呪力の複雑な絡まりが原因だ』
「ほう」
私が分かったふりをしていても、気にせず話を進める千春。
『つまり、拘束具によって手足が固定されるように、呪力によって私の能力が固定されたような感じだ』
「なるほど」
『ということは、その呪力を何らかの形で打ち消してあげればいい』
呪力を打ち消す。
……あっ!
「私の御札!」
『そう。試す価値はあるだろう』
効力は永続では無いが、御札を使えば一時的に呪力が無くなったように見せかけることができる。
けれど、それには大きな問題が。