第61章 封
『……私がいない間に、強くなったな』
「…色々あったから」
『術式も…』
「うん。色々試したら、幅が広がった」
『…頑張ったな』
「…ありがとう」
千春は軽く頬を撫でてくれた。
不思議と温かい。
前からは得体の知れない奇妙な呪霊が走ってくる。
『いけるか』
「うん」
腕を横にひらくことで斬撃を飛ばし、呪霊の首を切る。
『…』
「どうしたの?」
『…いや。一撃か、と思って』
別に初めてでは無い。
なんでそんなに驚く必要がある?
「…そういえば、どうして個体が消えないの?」
『…それは』
千春は少し黙り、私が10歩ほど歩くと覚悟を決めたように話を始めた。
『いいか。あれは元人間の呪霊。あのツギハギ呪霊に、無理矢理呪霊にされたんだ』
────
「へぇ」
無視だ、無視。
『……いけるか?』
気持ちの整理には時間がかかるのに、それでも無慈悲に呪霊はやってくる。
「ごめ…ん、お願いしていい?」
『分かった』
以前のようには戦えないけれど、ある程度は戦えると言っていた。
その言葉通り、さっと呪霊を殺してしまった。
元人間である呪霊を。
つまりは、私達は今、元人間を……人間を殺し────
『あれはもう人間じゃない』
あれはもう人間じゃ……
「で『人間には戻れない。祓うしかない。彼らも…それを望んでいるだろう』
あのツギハギに未来を奪われ、呪霊と化し、意識なく人を襲っている。
「…1人……誰にも、見守られ、ずに…」
『そうだ。私達にできることは』
「1人で…」
『…千夏?』
私は、悟に普通の暮らしをあげたかった。
そのためなら、命を賭けれる。
悟のために戦い続けたことに偽りはない。
私は、誰にも死んで欲しくなかった。
私は…、ひとりぼっちで死ぬ運命にある生き物を、救いたかった。
私は、1人で死にたくなかった。
だから、誰ひとりとして、死んじゃダメ────