第61章 封
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千夏、千夏、千夏。
「ん…起きるよぉ…」
少しだけ寝たら、だいぶ楽になった。
千春は無視されて怒っていたけれど、体調はどうにも変えられない。
「起きたのか」
傑は柱によりかかって、退屈そうに欠伸をした。
「…鍵、ちょうだい」
「自分で探せ」
そうだ。
何かゲームをするって…。
「……呪霊?」
「もし、千夏が鍵を持ってきたら、大人しく五条悟を解放しよう」
「やくそく」
「ああ」
”明日の夜!ゲームするんだよ!約束だかんな!破ったら針千本!”
”はいはい”
”言い訳もなし!”
”はいはい”
”もぉ!”
「傑だから、約束は守ってくれるって、信じてる」
「残念だけど、私は夏油傑ではない」
「うん。でも傑だよ」
傑だから、私を殺さないんでしょ?
殺そうと思えば殺せるのに。
そう考えると、傑(本物)より優しいかもしれない。
アイツ、私が血を垂らしても普通に攻撃してきたし。
「……うん!完全回復!」
とまではいかなかったけれど、とりあえず動く元気は取り戻した。
「呪霊はどこに?」
「さぁ」
「…まさか、日本全国探せなんて言わないよね」
「まだ時間も経ってない。そこら辺にいるんじゃないか?」
私をなんだと思っている。
呪霊レーダーか?
「千夏ならできるだろ」
「…変な形の期待だね」
「どうとでも」
地面に落ちてる四角い箱の中に悟がいるのだろうか。
(…)
悟はどうして封印されたの?
油断?
そんなわけない。
絶対傑が関連してるはず。
「何か?」
「…別に」
睨んでも何も変わらない。
今はこのゲームに勝つことのみを考えるんだ。
「じゃあ、行ってくる」
「ご勝手に」
「悟に言ったの」
「それはすまなかったね」
「思ってないのに謝らないで」
本当に傑みたい。
悟の目にはこの人がどううつったんだろうか。
六眼は誤魔化せたのだろうか。
『…千夏』
「ん?」
とりあえず、外に出るために線路に沿って歩く。
『大丈夫か?』
堪らず溢れでてくる感情を押して、押して、押し殺し。
「大丈夫だよ」
平気なフリをする。
この感情は後回し。
いらない感情は後回し。