第61章 封
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虎杖くんと合流し、ことの詳細を把握していると、懐かしくも苦い名前が聞こえた。
「夏油さんが?」
どういうことだ?
……いや、細かいことは後回し。
今は早急にやるべきことがある。
「確かにそれなら地下鉄の隣駅から攻めた方が速い。だが、そのためにまず帳を解かなければ」
「緊急事態ダ。マルチタスクで頼厶」
四の五の言ってる場合ではないか…。
「1級でしか通らない要請がいくつかある。外に出て伊地知くんとそれらを全て済ませてきます。3人にはその間に術師を入れない帳を解いてほしい」
それでもどのくらいこの現状に吉をもたらせるか。
そもそも、五条さんの封印がどのくらいの早さで、どの程度の影響をもたらすか未知数である限り、全てのことに対して最もらしい時間で行う必要がある。
「あ、ナナミン」
「何です」
「八乙女さんはどうしたらいい?」
千夏さんは五条さんと一緒にあの帳の中へ入ったとされている。
今回の大きな問題は、五条さんが封印されたことだけでなく、”彼女もいる中”封印されてしまったことだ。
「あの人のことは今はいいだろ。勝手にやってくれるはず」
「いや、そーだけどさ」
無駄なことを話している時間は無い。
けれど、千夏さんの”本当の強さ”が顕現したときのことは、伝えておくべきだ。
「千夏さんがこちらに出てきた、あるいは帳があがって合流した際には、無闇に近づくことはせず、あちらの動きを伺ってください」
周りのことを見る余裕があればそれでいい。
けれど、あの人は人一倍感情が揺れ動く。
「殺されますよ」
猪野くんは千夏さんと会ったことがあるか不明。
また、2人はかなり千夏さんと仲が良かった。
きっと、今の千夏さんを”いつもの千夏さん”としてみてはいけない。
危険すぎる。
「殺されるって…どゆこと?」
「彼女は何年も術師界に命を狙われ続け、そして未だに五体満足で生きている」
どこか苦しそうに顔を歪める伏黒くん。
彼はもう理解しているのだろう。
「しかし、私ですら千夏さんの本気は見たことがない」
「…その上、五条先生が封印された」
「ええ」
制御が効かない最強ロボットが暴走するようなもの。
私達は無闇に千夏さんに近づかないことで万丈一致し、己のやるべきことの遂行へ向かった。