第60章 こてん
「私に抱かれろ」
「は?」
あまりに突飛なことを言うものだから、変な声が出てしまったでは無いか。
「ふふ..」
「何を笑ってr」
「気づいちゃった」
まさか、こんなことで気づくなんて。
こんなことを言われないと────
「あんた、傑じゃないね」
彼を弾く。
さすれば、彼の体は離れると共に、体の表面が一時的に痺れたことだろう。
「…ふっ。なんだその笑みは」
「いやぁ。誰だか知らないけど、私と傑の仲を甘く見ないでよ」
まず第一に、彼は私のことを抱こうだなんて考えない。
だって彼は巨乳好きだ(悟情報)。
第二に、彼は私を抱き寄せる時、腰に手は置かない。
何故ならば、悟に怒られるから(当時は知らなかったけど)。
第三に────
「傑と悟は親友だから」
「くっ……くくっ、ああ、そうかい」
昔もこうして変なところでツボに入っていた。
本当によく似ていること。
「何で傑の真似をしてるか分からないけど…」
「君は本当にポンコツだ」
次の瞬間、傑の元から一体の呪霊が。
全く害になっていないけれど、とりあえず避ける。
「……ん!?!?」
そういえば、呪霊操術使ってない!?
「やっぱり傑!?」
「…はぁ。ここまで緊張感がない馬鹿だったとは」
傑?
傑じゃない?
そんなことを考えている間にも、呪霊は私と遊びたがる。
ちょっと待ってて、という代わりに、手持ちの札を素早く貼って動きを封じた。
この程度の呪霊なら2枚で平気だ。
「なんだい?それは」
「…やっぱり傑なのかな」
傑なのか、傑じゃないのか。
そんなことを考えている間にも、頭の中に思い浮かぶ問は移り変わっていく。
「ていうか、何で傑がここにいるの?ハロウィン楽しんでたの?」
「…」
傑(仮)はこの事態に関わっていないと言っていたし、一般人に紛れ込んでいたのだろうか。
だとしたら、彼は傑ではない。
だって、傑は1人でハロウィンを頼むような男ではないからだ。