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【呪術廻戦】infinity

第59章 綺麗事




「まぁまぁ。八乙女千夏さん」


おじいちゃんの中でも比較的若そうな人が、にこにこして私に話しかけてきた。
そこに座る人が私に「さん」をつけるなんて初めてのことだ。


「今日は頼み事があって呼ばせて頂きました」


また、敬語を使われることも初めてだった。


「実は長野の方で特級呪霊が見られましてね。そちらに向かって頂きたいのですよ」


いくら好意的な態度だとしても、今までの積み重ねがある。
どうしても嫌な想像ばかりしてしまうのだ。


「嫌です」
「…そうなると、五条悟殿が1人で行くことになりますよ?」
「別に良くないですか」


悟だけじゃない。
私だってイラつく時はイラつく。


「…長野県鬼小町風見村。今は廃村となっているが」
「うるさい」


悟と離れろって言ったのはそっちなのに、どうしてそんなことをさせるんだ。


「悟1人で大丈夫でしょ。私はいらない」


風見村。
どうして?
札は間違いなく貼ったし、貼り直す時期はまだまだ先のこと。

これが嘘だとしたらそれはそれでムカつくし、本当だとしたら自分を極限まで責めることだろう。


「千夏、爪」
「あ…うん、ありがとう」


既にボロボロの爪だけれど、噛まない方が断然良い。
落ち着け…。
廃村だから、誰も死んでないはず、傷ついてないはず。


「でも、先程五条悟殿と1番連携が取れるのは貴女だと伺いましたが」
「誰に」
「彼に、です」


そういえば、悟の方が先にいたけれど、一体何を話していたのだろうか。


「……別れて2ヶ月半くらい経ちますが、誰よりも一緒にいた。と、言ったまでですが」
「同じようなことじゃないですか」
「…まぁいいですけど」


2ヶ月半。
もう2ヶ月半が経ったのか。


「でも、彼女は今戦える状態じゃないとも、言いましたよ」
「ええ。聞きましたとも」
「…クソ」


さ、悟がキレてる。
私にしか聞こえないくらいの声で言うのが、本気の証。


「それでも彼女は強い。そう言ったのも」
「はいはい、僕ですね」


強い。
悟がそう信じてくれて本当に嬉しい。
でも────


「私は…弱いよ?」
「…今は黙ってて」
「……はい」


話をややこしいことにするな、と言われたみたい。
何度こう主張しても、悟は適当に流す。


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