第58章 特別編①
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家に帰る前に学長の所へ寄って、三輪さんのことを調べた。
学長は東京校だけでなく、京都校の情報を持っているし、本来見せられないものだとしても私になら見せてくれそう。
「見せるわけないだろ」
「え゛」
「なんで見せて貰えると思ってんだ」
でも、三輪さんのことは教えてもらった。
「まぁ、一言で言うといい子だな」
「それはいい。他は?」
「他?」
「その、女性としてというか」
一瞬固まった学長は、ニヤニヤした後に顔を隠して笑った。
「笑い事じゃないの!」
「くっ…」
「真剣なのに…!」
「悪い、悪かった…くくっ…」
…焼いてしまおうか。
それとも、煮て食べる?
「なんだ、その。三輪がどうしたって?」
「……好きなタイプ。三輪さんだって…」
「ほぉ。それで、か…」
「笑うなっ!」
やっぱり、苦しんで貰いたいから、釜茹でにするか。
うん、そうしよう。
「別にタイプはタイプだろ?良くないか?」
「良くない!あのねぇ、アイドルとかに「好き〜」って言うのは全然いいのよ、私も言うし。でも、それはあくまで手の届く可能性が限りなく低い相手で、あっちが仕事として割り切ってるから成り立つもので、現実世界で…しかも、悟のことが好きな女の子に言うのは別!」
「あっちは悟のこと好きなのか?」
「知らん!でも、あんなにかっこよかったら惚れるでしょ、普通!」
高そうなソファに寝そべって足をバタバタさせた。
だって、悔しいじゃん!
学長の第一声が「いい子」なくらいに、いい子な人なんでしょ?
まず、その時点で勝てないじゃん。
いい子でない自信はあるし、どちらかと言うと私は悪い子だ。
「…そんなに不安になる理由がわからんな」
「不安になってない!」
「許してやれ。多分だが、アイツなんも考えてないと…」
「〜もう!」
他に好きな人が出来た、とか言われても絶対別れないし。
取られたとしても取り返すし。
(…あーもーやぁー…だ)