第58章 特別編①
(ほお。彼女の前で、好きなタイプを言うか、へぇ、この…クソが!)
何度も言うが、好きなタイプは人それぞれで、必ずしも恋愛に直結するわけではない。
……でも。
私はいい子ではない。
つまり、詰み。
「あ。そうそう〜。この間、その子に「写真撮って欲しい」って言われちゃってさぁ〜」
「…それ、なんで私に言うの?」
「咄嗟のことでビビったけど、ちゃんと写り良くて安心したよね」
ほらこれ、等と、後ろでは写真を見せびらかされているのだろう。
(は?これわざと?わざとだよね)
前言撤回。
嫉妬しないとか言ってたけど、バリバリ嫉妬しています。
「…アイツ馬鹿だから、何も考えてないと思うよ」
「はは、そーだよねー…分かってる分かってる、ハハッ」
あの硝子に同情されると言うことは、傍から見ても悟のデリカシーの無さが際立つということだ。
「ちょい、飲み物買ってくるわ…」
「ん」
席を立ったその瞬間、聞きたくない声が聞こえてくる。
「千夏〜どこ行くの〜?」
だめだ。
声を聞くだけでイラつく。
「飲み物買うの」
「じゃあ僕も「ひとりで行く」
必要がない声の圧をかけてしまい、空気が凍りつくのを感じた。
「…ん?僕なんかした?」
「別に」
あー醜すぎる。
早くここを去らねば。
「え」
サッと振り返って周りの反応を伺う。
「え」
辺りを見渡したら、皆して同じ顔。
「…まぁ、当然じゃない?」
「何が!?」
「自分で考えなよ」
ちょちょちょちょっと待って。
朝ごはんは残さず食べたし、ゴミも捨てた。
掃除機はかけられなかったけど、サッと洗面台は掃除した。
仕事中は関わりないし…
怒られること…したっけ。
(……こ、これって、まさか…!?)