第58章 特別編①
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オカワリのスープパスタが届いて、これまた数分で食べ終わる。
この店の店員とは仲がいいらしく、何故かそのまま寝てしまった。
まぁ、睡眠を勧めたのは俺だけど、まさか店で寝るとは思わない。
(……呼ぶか)
早く帰りたいし、でも、このままにしておけないし。
苦渋の選択として、あの人に電話をかける。
『しもしもー?どーしたー?』
「昼飯食べてたんすけど、寝たんで引取りに来てください」
『寝たって、店で?』
「はい」
もしかして、このまま焼肉に行くつもりだったんだろうか。
駅も近いし、そのまま向かうつもり?
「俺、帰りたいんで」
『いいよーん。どこ?』
「駅前のデパートの中にある…」
『あー、スープパスタのところだ』
なんで分かるんだよ。
キモすぎる。
『すぐ行くからねー』
「そうしてください」
こんなところで寝るほど、疲れていたのだろうか。
いつでもどこでも、彼女は元気にふざけるから、あまり実感できない。
でも、彼女が無理をする人だということは知っている。
”うんうん!おねーさん、助けようね!”
そして────
「やっほー」
「……早くないっすか」
「まぁ、近くにいたからねぇ」
電話の直後、店にやってきた五条さん。
……八乙女さんが電話に出ない理由がわかる。
絡みが面倒なんだろう。
「なんで寝てんの?」
「疲れてたからだと」
「ふぅん。あまりよろしくないねぇ」
店員さんがお冷を持ってきてくれたが、この人は断った。
すぐに帰るつもりらしい。
「疲れてるなら、俺に構わないでいいって言っといて下さいよ」
「僕が言っても無理無理」
携帯とか鏡とか。
全てをカバンに突っ込んで、勝手に身支度を終える。