第58章 特別編①
「てか、最近寝れてます?」
「え?う、ん。どして?」
「クマ」
指摘された場所を慌てて隠す。
「やっぱりやばい〜?」
「まぁ」
「頑張って隠したんだけどなぁ…」
朝からコンシーラーを巧みに使って顔色を整えたのに。
やっぱり厚塗りすぎて崩れてきたか。
「五条さんには言われなかったんすか?さっき会ったんでしょ?」
「特には。バレンタインだから浮かれたし、多分私の顔あんまし見てないよ」
私が教室に入った時から、面白いくらいに期待されたし。
やっぱり、恋人らしいバレンタインに期待してたのは、私だけではなかった。
それがまた嬉しい。
「…会うの、久しぶりでしたよね」
「まぁね。お互い忙しいし、予定合わないし…」
だから、今日の夜は少し特別。
たまたま予定があって、その日がバレンタインなのだから。
「さっきあげた袋のお菓子と、みんなで食べる用のケーキはもうあげた」
「へぇ」
「後は…夜のお楽しみ」
前と同じように、五条悟用の特別仕様チョコをちゃんと準備している。
今回は少しだけお酒を入れてみた。
悟が酔わない程度のお酒。
「恵バージョンもあるよ。お酒抜きのやつ」
「…」
「え、何その顔」
「……ちゃんと特別にしたから喜んでくれる、とか思ってるでしょ」
「はい」
「俺と似たやつとか、あの人絶対嫉妬しますよ」
…。
「ら、ラッピング、違うし…」
「だとしても」
「お酒、入ってるし…」
「関係ないと思いますけど」
恵の言う通り、彼はとてつもなく嫉妬深い。
やっぱり、恵の分は作らない方が良かったのだろうか…。
「…恵ぃ、内緒にできる?」
「バレますって」
「頑張ろ?」
「……自分で食べたら?」
「それはちょっとやだ。折角作ったんだがら…」
私にとって、悟は悟でしかなくて、比べ物にならないくらいその存在が特別。
そのことは伝わっているだろうけれど、伝わりきれていない。
やっぱり嫉妬するよなぁ…。