第58章 特別編①
パスタと言っても、この店はスープパスタが有名。
普通のパスタもあるけれど、2人共スープパスタを頼んだ。
トマトとキノコと野菜のやつ。
「美味しい?」
「はい」
恵が美味しいと言ってくれるだけで、なんだか嬉しくなる。
食パン、栄養バーなどなど。
ご飯に連れ出さないと、質素なものだけで生きて生きそうなものだ。
「今日は仕事ですか?」
「今日はなーし」
「へぇ」
「恵は?」
「帰って、寝ます」
「いいね。友達と遊ばないの?」
「…まぁ。遊ぶような友達はいないし」
「ふぅん」
悟と恵が出会った時には、この子はまだランドセルを背負っていたという。
どんな感じで出会ったんだろう。
どんな感じで話したんだろう。
どんな感じで……。
「…いいなぁ」
「……友達いないことが?」
「あ、いや。こっちの話」
「…」
「その。男の子達の関係って、淡白だけど強いでしょ?どんなに頑張っても、私は男の子になれないし、そういう関係、ちょっと羨ましい」
「なんでそんな話に繋がるんすか」
「恵と悟が」
「やめてください」
「へ?」
「別に友達じゃないんで」
2人が友達でないことは知っているが、明らかに特別な関係性がある。
けれど、恵はそう言われるのが本当に嫌みたいで…。
というよりも、悟の話が嫌いなのか。
「…あ、あ〜。なんかちょっと足りなかったかも。もう1個食べようかな」
「まだ食べるんすか」
「恵は?いらない?」
「…頼んで、いいですか」
「どぞどぞ!」
私ですらもう少し食べたいと思うのだから、恵は全然足りてなかったということ。
育ち盛りの男の子を連れてのランチとしては、お店選びに大失敗か。