第58章 特別編①
「んじゃ、そろそろ行くわ」
……ははーん。
僕宛てのチョコは夜に渡してくれるのかな?
「ちーなーつ」
「何?……ああ、夜?」
「そー。終わったら連絡して」
「りょーかいです!恵と向かうね〜」
……ん?
「なんで恵?」
「え?そういう予定でしょ?」
いやいや、待ってよ。
恵がいるなんて聞いてないし、そんな予定は無い。
可愛く敬礼されても、そんな予定はない!
「…あれ、もしかして私の勘違い?」
2人でご飯を食べたいのに。
こ、こんな顔をされたら…。
「あー。恵ね。ううん、僕の勘違いだったよ」
こう言うしかないじゃん!
「じゃあ、後でね」
「うん、またねー」
……はぁ。
なんでこうなるかなぁ。
「悟、振り回されてんなぁ」
「また千夏さんの勘違いっぽいし」
「しゃーーけ…」
パンダも真希も棘も、僕に同情してくれる。
「恵…さん?って誰?」
「この間見ただろ。千夏さんと牛丼食べに行った時」
「えぇ!?あれが!?てっきり女の人かと…。五条先生とも仲良いんですね〜」
いや、違う。
今さっき、恵とは縁を切ろうとしたところだ。
「夜、どこ行くんだ?」
「千夏が焼肉食べたいって言うから焼肉」
「ふーん。俺も行っていい?」
「なんでだよ、来んな」
むしゃむしゃと食べる成長期を少し過ぎた生徒たち。
僕の分がなくなりそう。
「どうせ恵も行くんだろ?私らが増えたところで…」
「いや、何としても阻止する」
今日くらいは千夏を独占させてくれ。
10年ぶりのバレンタインなんだから!
「おかか!」
「そーだな。それは、恵が可哀想だ」
君たちはバレンタインの幸せを知らないからそう言えるんだ。
僕は!
何としても!
チョコを貰う!
そして、千夏と熱い夜を過ごすんだ…!!