第58章 特別編①
「照れないで、普通に嬉しいって言えば?」
これが照れ隠しであることを。
「…なんかダサくね?」
「別に?さっきからキモイんだけど」
「そういうこと言っちゃう?」
「うん」
昔から褒められても、素直に受けとらず、ツンとした態度をとる。
今だってそうだ。
嬉しいはずなのに、変にきどっちゃって…。
「…」
「…」
「……ちょっと中入っても?」
「どうぞ?」
中に入って、扉を閉めただけ。
部屋の中までは進もうとしない。
「あの、ですね」
「はい」
「…正直、めっちゃ嬉しいです」
うわ、素直。
珍しっっ!!!
「中開けてないけど、硝子から聞いた。俺のだけ特別にデコったんでしょ?」
「そうだよ」
「……ありがとうございます」
袋で顔を隠してお礼を言う五条。
その袋の裏にある顔はめっちゃ可愛いんだろうな、なんて想像して。
「去年はバレンタインとか言ってられなかったから、今年は頑張った」
「……どーも」
正直、五条の性格がめちゃめちゃ個性的なクズだったとしても、私はこの人を好きになって、きっとずっとずっと想い続けると思う。
「食べてもいいですか」
「はい、どーぞ」
早く開けたい癖に落ち着いているように装う。
いつもだったら私にバレないのに。
よほど嬉しいんだ…。
「…Big Lave」
「あ、間違えちゃったの。える、おー、ぶい、いーって、言うのはいいんだけど、書くってなるとね」
「ふっ…馬鹿すぎ。流石に呆れるわ。イチゴのチョコ?」
「うん。中は普通のチョコケーキ。デコレーション頑張った。褒めろ?」
「売ってるものみたい。不器用なのによく頑張りました」
「一言余計」
「許せ」
久しぶりにこんな顔を見た。
小学生の時以来。