第58章 特別編①
ガチャ
「風呂入ってた?」
五条だった。
「うん。髪乾かし終わったとこ」
「そう」
動きやすそうなラフな格好。
サングラスもかけてなかった。
「これ」
距離ゼロの位置に移動してきた茶色い……袋。
「千夏でしょ」
少し経って、私のチョコが入った袋だと認識。
「あ、うん…そう」
「あ、やっぱ?宛名無かったからビビったんだよね」
私が外出した後30分くらいで五条は2人の所へ戻ったらしく、そのまま傑と出かけたんだとか。
それも、小中学生のころの同級生に「チョコ渡したいから来て」と言われていたらしく、2人して律儀にチョコを回収してきたらしい。
「何個貰ったの?」
「数えてないけど、20個くらい?商店街のおばちゃんにも貰ったからさ」
うっざ。
昔の同級生にだろ?
わざわざ呼び出されて?
貰いすぎだし、モテすぎ。
「でも、さすがに食べれないから硝子にあげたよ。千夏もいる?」
そして、それを他人にあげるだと?
「いらない」
「え、チョコだよ?マカロンもあったけど」
「いらない、最低」
せっかく作ってくれたのに失礼極まりない。
でも、「腐らせるよりマシ」と言って、反省する気もないだろうし。
「それを聞くために来たの?」
「いや。これ、誰のかなって」
「そんな情報、硝子に聞いたんじゃないの?」
「…ありゃ、鋭い。今日、頭冴えてるね」
「どーも」
ありがとう、とか。
嬉しい、とか。
そういうのよりも先に。
「…」
「……何?」
「え?あー……何で2つなのかなって」
そっちが気になるみたい。
「嬉しさ倍増するかなって思って」
「なるほど〜」
「…倍増した?」
「うん。最初のじゃ、ちょっと物足りなかったか…」
は?
「じゃなくて。うん、嬉しいよ」
こいつは本当に…!!!
と、キレたくなるけれど。
私は知っている。