第58章 特別編①
デコレーションが終わったあとは、箱に詰めてラッピング。
「「「出来た〜!」」」
バレンタインはみんなが思っているほどロマンチックな成り立ちではないけれど、こういう日くらい女の子らしくキャピキャピしたい。
「冥さんー!終わりましたー」
リビングでくつろいでいる冥冥さんは、ワイン片手にテレビを視聴していた。
「キッチン貸してくれてありがとー」
「対価は千夏が払ってくれるんだろ?」
「もちー!」
「それならいくらでも貸すさ。私は優しいんだ」
はいはい、そうですね。
3人してそんな顔をして、憂憂の元へ向かう。
「はい、ハッピーバレンタインー」
「ありがとうございます!」
なっ、こやつ…!
私に対する態度と違うぞ!
「歌姫さんが作られたんですか?」
「3人で、ね」
歌姫がそう答えると、憂憂は私の方を見て睨む。
「おい、その目はなんだ。あげねーぞ」
「いえ、貰います」
まったく。
この子は可愛げという言葉を知らないみたいだ。
「んん!美味しいです〜!」
「ほんと?良かった〜……よかったね、千夏」
私たちも味見をしたけれど、憂憂の評価も得られたから、本当に安心できそう。
「千夏は五条にあげるんだろ?」
「うん」
「2人は?」
「私は夏油と先輩後輩……あと先生。そんくらいかな」
「私も同期と先輩後輩くらいですかね」
1日冷蔵庫において、あとは本番を待つのみ。
「今回こそ五条と仲直りする!!」
(え、喧嘩してたの?)
(喧嘩してないけど、避けられてるんです)
この最強お菓子があれば、五条も謎の壁を取り払ってくれるはず。
あわよくば、そのまま……なんてことは絶対にありえないが。
少しくらい甘い空気になっても良くないか?
(明後日、頑張ります!!!)
由来のように………少しばかり間柄に障害を抱える私たち。
まさに、決戦の日として相応しいバレンタインデーだ。