第58章 特別編①
「んじゃ、千夏。やるか」
「おう!絶対勝つ!」
ドベは絶対に嫌!!
今回の罰は皆に焼肉を奢ることだから…。
この勝負は気合いの入れ方が違う。
それはもちろん、傑も同じだ。
「ボリボリ…ふたりとも……ボリボリ……ふぁいとー」
「ちょ!私のお菓子!」
人のお菓子を勝手に食べて…!
まぁ、そのために持ってきている側面もあるんだけど。
プシュ
「おい、悟。やめとけって」
「いーじゃん」
「サイダーじゃないんか!?」
急いで振り返ると、悟がお酒の缶片手にチップスを食べていた。
「ダメだって」
「千夏、やばいよ」
「え…あ゛!?!」
レーンアウトからの、順位降下。
悲惨なことになっていた。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
「うっさい」
焼肉が!
焼肉…が…
「もぉ!」
どんどんみんなの素行が悪くなっていく。
ここは、優等生千夏ちゃんが頑張るしかない。
「おー。なになに。千夏の奢りかぁ?」
「いや、まだ!まだ……いけるはず…」
チラつくお酒。
悟だけは清く正しく生きてもらわないと…!
「お。梅酒じゃん」
「前、美味いって言ってたから」
「美味いよ。でも、あんたって弱くなかった?」
「いけるっしょ」
1位を独走している傑を没させるには、青甲羅を出すしかないけれど、いかんせん運がない。
「飲むなぁァァァァ!」
「はは、まだ言ってるよ」
「先生に告げ口してや……ぎゃゃぁぁぁ!」
青甲羅!
青甲羅!
私の反応を見たからか、傑は急にバックし始めて、トップの座を譲る。
「ちょ!意味ないじゃん!」
「ポーカーフェイスって知ってる?」
「ねぇ、お願い!ギリギリの青春みたいな試合にしようよ!」
「興味無いね」
本当に意地悪。
本当に嫌い。
あんぽんたん。
そんなことあって、私は4位でゴール。
この中でドベだ。
「おつー」
「……ちょっと走ってくるわ」
「ははっ!ふぁいとー、お菓子吐くなよ〜」
なんで、なんで私が負けたんだ!?
絶対に悟のせいだし!
そんな思いを振り払うように、運動場のトラックを一周してから部屋に戻った。