第58章 特別編①
「まぁ、千春がどれだけ千夏を大切にしてるかは、千夏の次に知ってる自信はあるよ。どうせ、別の形で見守ってたんでしょ?」
『…まぁ』
「それに、傑のことだって。千春も千夏も意見を押し殺す必要は無い。別に良かったんじゃない?」
『でも、私はそれに乗じて……千秋と千冬を”殺して”しまった』
殺す、か。
千春がそんなことを言うなんて珍しい。
「詳しくは知らないけど、訳ありだったんじゃないの」
『…全部私がいけないんだ』
「そう病むなよ。お前だって千秋と千冬のことを大切に思ってるだろ」
それは些細な言葉遣いから分かる。
そして、今までの信頼がそれを確信している。
「どうしようもなかったんだろ?」
『…私には、それしか思い浮かばなかった』
「それなら自分を責めないの。僕は最善の方法で千夏を守ってくれて嬉しいよ」
上書き保存ボタンを押して、パソコンを閉じる。
「ていうか、いつも疑問だったんだけど」
『…何』
「僕らがイチャイチャしたり、あんなことやそんなことをしてる時、千春って見てるの?」
その特性から千春は千夏とあまり離れられないけれど、ずっとくっついているはずもない。
たとえ仲が良くても、姉妹でも、ずっと一緒にいたら頭がおかしくなってしまう。
『いつ呼ばれても出れるようにはしてる』
「つまり、見てるってこと?」
『肯定して欲しいか?』
「いや、事実を知りたいんだけど」
話をすり替えることには成功したけれど、その答えは非常に曖昧なもので、スッキリしないまま千春はどこかに行ってしまった。
ここ数時間パソコンに向かい合っていたために、携帯に届くメールを処理しきれていない。
どうせ動けないのだからと、今度はスマホ相手に時間を使うことにした。
そんなことをしていれば、いずれ千夏は起きる。
「お?」
「……ねてた」
「おはよ」
「………ん」
寝起きの千夏は、とってもきゅーと。
話が通じないくらいに寝惚けるのはいつものこと。