第57章 特別講師
でも────
「※※※ん※※え※すか?」
この世界が優しくないことは知っていた。
「※ぁ、※ん※※し※※す※」
「そう※※ね」
ほんの0,2秒、反応が遅れただけなのに、私は生命を脅かすほどの痛手を負い、2ヶ月ほど眠っていた。
奇跡的な生還だったらしいけれど、焼けるような痛みで感動は皆無だった。
何度か手術をして、徐々に意思の疎通が簡単になってきて知った。
「ご両親は来院されてませんよ?私はただの看護師なので詳しいことは分かりませんが、この特別病棟の患者さんの親御さんには連絡いかないんですかね」
「面会謝絶なので、来院されても面会はできませんが…。特に問い合わせも…」
私は1人になってしまったのだと。
誰にも心配されず、誰の目にも止まらない。
居てもいなくてもいい存在。
『お母さん、見て見』
『はいはい、後でね!』
『……はい』
『もう、また忘れ物ですか!?少しは工夫しなさいって言ったでしょ?』
『…リュックの中にいれたんですけど、何故か無くて…』
クスクス…クスクス
『…あの子…クスクス…』
『まじうざいよね…クスクス』
『消えてくれないかな…クスクス』
どうしてあのまま死ねなかったのだろうか。
私を生かして、また嘲笑うつもりか。
うるさいと言われたから黙ってみた。
そしたら根暗と言われ笑われたから、いつでもニコニコした。
そしたら気持ち悪いと言われたから、表情に伴って気分も上げた。
そしたらまたうるさいって言われたから…今度は…
もう頑張ったよ、これ以上なんて無理なのに。
どうしてこの地獄を生きないといけないの?
「ハナ」