第57章 特別講師
口付け寸前で止まる顔。
念の為、口の間にこっそり手のひらを滑り込ませておこう。
(…見られてるのも知ってる)
(…!)
おじいちゃん達も無茶なことをする。
色仕掛けなんて、誰が発案したんだか…。
「僕を落とそうなんて、100万年早いよ」
落ちないように腰に手を添えてから、和田ちゃんの手を振りほどく。
「震えてる」
「っ…」
女の子が好きでもない相手に大事なとこを見せたらダメ。
「な、んで…」
「和田ちゃんがそっちの人間なのは知ってる」
「…じゃ、あ、なんで…」
「気まぐれ」
できるだけ、千夏の楽しい記憶を汚したくない。
千夏の中の大切な人を減らしたくない。
「いいから、襲われてくださいよ…!」
「それはできない」
「…ダメなんですよ…私はっ…」
「む゛」
ひんやりとした腕が僕の背中を包み込む。
「わ゛っへ(待って)」
そして、柔らかい2つの山に頭が押し付けられた。
僕は千夏が誰よりも好きだし、千夏以外を抱こうとは思わない。
でも、男の本能には逆らえなかった。
(柔らかっ!?)
千夏には申し訳ないけれど、和田さんの胸は千夏のものより大きく、その柔らかさも桁違い。
流石にこのまま好きにさせてしまうのは宜しくない。
急いで顔を上げようとした……その時だった。
ガチャ
少しの性欲がもたらしたわずかな時間の差が、最悪の誤解を招くことに…。
「…」
「「…」」
ガチャ
「ちょ、誤解誤解!!」
すぐさま出ていった人物を追いかけるべく、和田さんを突き放した。
「誤解だって〜…!」
早歩きの速いこと。
急いで追いついて説明を始めようとしたが、話を聞き入れる気がないようで。
「何も見てません」
「だから」
「何も、見てません!」
「だーかーらー…!」
着物の袖を掴んで無理やり引く。
「事情があるの!」
「あんたの事情なんて知ったこっちゃないわよ………ほんと、何考えてんだか…」
「何もしてないって」
「人様の胸に顔を埋めといて?」
……
……
……