第56章 チホちゃん
「ん〜……おいでっ!」
「へ?」
「ここ。立つ」
悟の下半身が暴れているということは、私に興奮してくれたってことだよね?
それって何だかとっても嬉しい。
「なぁに?もしかして僕、怒られる?」
「ううん、怒らない...よっ」
悟は珍しくジーパンを履いていて、そのベルトに手をかけてカチャカチャと解く。
「ちょ、何すん…」
「口でs」「いいから。やめなさい」
ただでさえ、悟には力で勝てないのに、熱でふわふわした私の体はあっという間にベットに倒され布団を被せられた。
「ったく。僕に構わないでゆっくり休みなよ」
「…でも、せっかく2人なのに?」
これから先、2人で、密室に居られる機会なんて無いかもしれない。
一生、とは言いたくないけれど、悟が約束を守ってくれると信じてるけど、それでもそんな未来が訪れてしまうかもしれない。
「…」
「早くしないとチホちゃん帰ってきちゃうよ?」
悟の喉奥が締まる。
「……じゃあ、お願いしてもいい?」
「もちろん」
今度は自ら腰を差し出した悟。
ゆっくり丁寧にその履物を下ろす。
「…私、何もしてないのに」
「千夏が視界に入るとダメなんだよね」
「何を言う。たまにすれ違うじゃん」
「だから、毎回やばい」
「この変態」
その事物を口に含もうとした瞬間。
本当にタイミングが悪い。
ガチャ
「千夏さん!買ってきました!」
息をゼェゼェと切らしたチホちゃんが部屋に突っ込んできた。
間一髪のタイミングで悟はズボンを戻し、私は布団の中に隠れた。
そして、今起きたように装いながら布団から顔を出す。
「あ、ありがと〜。は、早かったね」
「ずっと、全力で、走りました…から」
チホちゃんは水分補給より先にポテトを渡してくれて。
悟はその間にトイレへ向かった。
「あれ、悟さんは?」
「今すれ違ったじゃん」
「えぇ!?気づきませんでした!!!ああ、私はまた…」
「ふふ。大丈夫大丈夫。あ、お水…」
「じ、自分でやります!千夏さんはポテトをお召し上がりください!」
こんなことが現実であるなんて。
残念だけれど、漫画のようなこの現状に笑わずには居られなかった。