第55章 こうするしかなかった
「今から13年前の…2005年9月27日に、先輩の戸籍は独立して移動してますね。ですが、これは異例。社会として…国として認められているわけではありません。そのため、5年都度に更新が必要なんです」
「更新って…そんなの聞いたことない」
和田さんは嫌な顔ひとつせず、淡々と続ける。
「まず、戸籍は通常本籍地で管理されるもので、本籍を移動する場合には転籍届けを提出する必要があります」
「…ん。何となく分かる」
「本籍については、詳しく理解してます?」
「…名前とか?」
和田さんは小さく笑って、新たなページを提示した。
「このリンクを送っておくので、読んでおいてください。分かりやすいですよ」
そして、迷いなくボタンを数個押して、すぐに元のページに戻す。
おしりのポケットに入ってる携帯が震えた。
「その本籍なんですが…。除籍という作業を行うことがあります。簡単に説明すると、結婚や死亡などで本籍の構成員が除かれることです」
「あ」
「思い出しました?多分、先輩にはサラッと説明されてると思いますよ」
その説明を前も聞いたことがある。
「除籍はやろうと思えば難しくありません。でも、何度も転籍があるとかなり面倒で」
”転籍した人が死ぬとさぁ、遺産手続きとかが面倒なんだよねぇ。遺産とかなくても、術師やってるとその人自身が遺産っていうか…。千夏に説明するのはだるいからはぶくけど、そんな感じ”
「私の場合、何回も転籍してるらしいから…死んだ時に手続きが面倒にならないようにって、悟言ってた!」
「ん〜、まぁ…そうですね。そんな感じです」
私ってば、記憶力最強?
悟の話は大抵難しいからいつもは流し聞きだけど、ちゃんと聞いていたようだ。
「悟って…あの男の子?」
「お、覚えてるの?」
「そりゃあ、ね。まだ繋がってたの…」
和田さんは何やらニヤニヤしていたけれど、2人は私と悟の関係を知らない。
それどころか、悟のせいで例の誘拐事件があったと思っているから、悟にいい印象はないと思う。