第55章 こうするしかなかった
インターホンを押しても返事がなくて。
何度も連打したら、やっと返事があったけど、それはお母さんでもお父さんでもなく、おじさんだった。
当たり前だけど、開口一番に「うるさい!」と怒鳴られた。
それには「ごめんなさい」と謝ったけど、おじさんと会うのは小学生低学年以来だったから、一瞬泥棒だと思って110番しそうになったのを覚えている。
「なんの用だ」
「お母さんは?」
「…お前、千夏か?」
「そう」
偉そうな態度をとる禿げたおじさん。
生意気ながらに嫌いだと思った。
「消えろ」
「は?」
消えろ、死ね。
そんな言葉が嫌いで、私を蔑む目がもっと嫌いだった私は、簡単にぷっつんしてしまった。
でも、暴れない。
暴れたら皆と暮らせなくなるから我慢した。
「志保達がどれだけ苦しんで、悩んだと思ってんだ」
「そんなの」
「黙れ。今更ノコノコやってきて…。まだ苦しめる気か…!」
「会えなくて苦しいなら、会えばいいじゃん。お母さんはどこ?」
私は2人に会いに来た。
こんな奴相手にしてる時間はない……なんてことを思っていた気がする。
「こんの…!」
そんな態度をとっていたから、あっさり殴られた。
避けようと思えば避けられたはずだけど…、何故かこの時は簡単に殴られた。
「お前は…まだ分からないのか…?」
「…何だよ」
「その存在が邪魔なんだよ…!何で志保はこんな奴を引き取ったんだ…くそ」
「私が…邪魔だって?」
「ああ!皆そう思ってるさ、志保達だってな…!お前が憎いって言ってたしなっ!」
よく分からないけど、この時一瞬にして冷めた。
2人のことなんて、急にどうでもよくなった。
「な、に…笑ってんだよ」
「面白くって」
「っ…!次、その面見せたら…殺すからなっ…!」
「ああ…どーぞ?殺せるもんなら殺してみろよ」
この帰り道、私は号泣した。
最高にイライラしていただけなのに。
理由は…割愛する。
とにかく、色々なことが悲しかったんだ。