第7章 運命
あんたがたどこさ。
ひごさ。
ひごどこさ。
くまもとさ。
「千夏〜、意識ある〜?」
くまもとどこさ。
せんばさ。
「ダメだ。まだ抜けてないよ」
「強くやりすぎたかな。細かいこと覚えてねーんだよなー」
せんばやまにはたぬきがおってさ。
それをりょうしがてっぽうでうってさ。
「ほんと最低」
「いやいや、仕方ないだろ。あそこでうろちょろされたら迷惑だった…」
「だからってここまでする必要ない」
にてさ。
やいてさ。
くってさ。
「ご、じょ」
それをこのはでちょいとかーくーせ。
「おっ!起きたみたいよ」
「ちょっと黙ってて」
硝子が顔をのぞきこんできた。
目の下のホクロが色っぽいな、と何度も思ったこの顔。
「千夏、私の顔見える?」
「うん…」
「ボヤけてない?」
「だい、じょ、ぶ」
いきなり体を起こすなと言われたので、大人しく従う。
と言っても、体を少し動かそうとしただけで、激痛が走る。
体がどこかに当たると、そこに痛みが生まれる。
「う…痛い」
「筋断裂」
「ま、じか。そんな動いてない…イテテ」
「半分はそこのバカのせいだよ」
バカと呼ばれた男。
「よっ」
視界が滲む。
首を横に向けた。
「また泣いてんの?」
「泣いてねーし」
「あは。そうだねー。固定するから、少し腕動かすよ」
良かった。
本当に良かった。
こんなにも痛みが気にならないなんて。
驚きだ。
「傑、は?」
「顔洗って来るって言って出てった」
「…」
「あぁ。大丈夫。ピンピンしてるよ」
生きているだけで万々歳。
この言葉を考えた人は天才だ。
中心の中心、的を得すぎだ。