第53章 本気で想う大切な人
「…やっぱ、もっかい寝たい」
「いいよ。ここ、チェックアウト12時までだし…あ、でも、私は9時過ぎに出ちゃうけど」
「…なんで。一緒に寝ようよ」
そんな可愛い事を言われても…。
「ウルハと10時に待ち合わせしてるの。一緒にお昼食べよーって」
「鈴木ちゃんだけ?」
「分かんない。もしかしたら七海ちゃんと旦那さん達も来るかも」
昨晩、七海ちゃんの連絡先から地図が送られてきたけど、送り主はウルハだろうし。
七海ちゃんと電話でその話はしなかったし。
「じゃあ僕も行く」
「悟も?バレない?」
「生徒らも連れてけば口実はOKでしょ。それに、千夏は僕が守るし」
「…悟は怖くないの?」
「千夏が隣にいなくなるのが、ね」
寝ぼけてるくせに、ここぞというばかりに饒舌になる悟。
「ご飯、作ったの?」
「そんなわけないじゃん。ルームサービス」
「えー…千夏の目玉焼き食べたい」
「今度…じゃなくて、いつか作ってあげる」
「ん」
外に出る。
たったそれだけを考えただけなのに。
どうしようもなく不安になる。
「悟」
「ん〜…」
「大丈夫って言って?」
「…大丈夫。千夏は僕が守るよ」
そう、大丈夫。
大丈夫なんだ。
「ふふ」
悟の手に頬を寄せる。
温かい。
「10年前の自分とお喋りできるなら、未来の私は幸せですって言いたい」
「…僕は年々千夏が可愛くなるから気をつけてねって言う…」
さぁ、ご飯を食べよう。
そろそろ本当に冷めてしまう。
「手を洗おうっ、シャカシャカっ…♪」
適当にリズムに乗って洗面所へ。
戻ると、まだまだ悟はゴロゴロしていて。
「用意間に合わなくても置いてくからね」
「うわぁ、ブラック千夏ちゃんだ」
大丈夫。
「そう。私は特別だからね♪」
だから、大丈夫なんだ。