第53章 本気で想う大切な人
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「おはようございます、八乙女様」
「おはようございます」
朝1番にルームサービスを頼んで。
「お部屋の中にお運びしますが…」
「いいんです。ください」
気遣いを無下にして、わざわざトレーに食器を乗せてもらう。
「こんな早くにごめんなさい」
「いえ。いつでも受け付けておりますので」
「ありがとうございます」
昔もそうだった。
夜中までみんなでゲームして、おしゃべりして…。
その時も夜中にも関わらず、このホテルは食事を持ってきてくれたっけ。
(オムレツにサラダ……うん、美味しそう)
結局、昨日の夜は1時間しか寝れなかった。
悟の腕を借りてみても、寝られないものは寝られなかった。
悟はというと、私が無理やり包まれに行ってもビクともせず、1度も目を覚ましていなかった。
死んでいるのでは?と思うほどの熟睡ぶりで、何度生存確認をしたか分からない。
そんな悟も17時間も寝ていれば目を覚ます。
「…んー」
手さぐりで私の腕を掴んだ悟は、そのまま布団の中に私の腕を引き込む。
「おはよ」
「…」
朝日が眩しいのか、なかなか目を開けない悟。
いつもは私が後に起きるから、こうして目覚めが悪い悟を見るのは珍しい。
「ご飯あるよ」
悟は私の腕をぺたぺたと触りながら北上し、私の胸に手を置いた。
「…僕の、おっぱい」
「何寝ぼけてんの、ばか」
やわやわと揉む手を振り払って、布団を剥いだ。
すると悟は光を避けるようにうつ伏せになって、小さく呟く。
「だって、僕の……だもん」
か、か、可愛い…!!
ムギュっと潰れた顔には、普段のかっこよさは微塵もない。
「まだ寝る?」
「…おきる」
「9時に出ればいいから、時間はまだあるし」
「いい…。千夏と、お話する」
可愛い…!!
どうしよう、心臓が壊れてしまいそう。
「…千夏が隣いたから…めっちゃ、寝られた」
「私、ほとんど隣にいなかったよ?」
「なんで、そんな酷いことすんの」
パタッと倒れていた手が、再び私の腕を掴む。
「可愛い」
「…ん?」
「悟、可愛すぎて、無理」
「…それ、ほめられてる?」
「うん」
「なら、いー…や」