第53章 本気で想う大切な人
「それはそうと、お菓子とか…恵には食べやすそうなゼリーとか買ってきたけど食べる?」
「ヤッター!八乙女さん、さんきゅー」
女子にはケーキを買ったなんてバレたら、パンダ辺りに嫌味を言われそうだ。
黙っておこう。
「伏黒ー、ゼリー…」
「ストップ!!」
パンダが悠仁が持つ袋を奪う。
そして、何やら耳打ちをして…
恵の方を振り返ってニヤリと笑った。
「千夏ー」
「…何?アンタのその顔、いい予感しないんだけど」
「それがさー」
パンダは袋の中からみかんゼリーを取り出して
「伏黒、腕痛めてるから1人で食べれん。食べさせてあげてくれ」
それを私に渡してきた。
「はぁ?」
「な、恵。食えんよな」
「普通に食べれ」
「おかか!!」
棘が恵のベットに飛び乗る。
負傷者にそれはキツイのでは?
「スプーンはこれな」
「あ、うん。ありがとう」
ベットの縁に腰をかけて、ペロッと蓋を開ける。
「1人で食べられるんで」
「腕痛いんでしょ?」
「いいんで。それください」
ゼリーを奪おうとしてくるけど、やはり腕が痛いらしく、少し顔が歪んだ。
「ていうか、ゼリー食べたかった?勝手に開けちゃったけど…」
「…食べますけど。1人で食えます」
「私のせいで怪我したんだから、これくらいさせて」
みかんをひとつ、ゼリーを少し乗せて。
「口開けて。あーん…」
恵はゼリーと私の顔を見比べて、顔を逸らす。
早く食べてくれないとみかんが落ちてしまう。
「食べないと突っ込みますよ」
力加減が不得意な私。
きっと恵はそのことを知っているから、納得していない顔でも口を開けてくれたのだろう。
「…すみません」
「いいのいいの」
怪我をした時は思いっきり人に頼って、大切な人が怪我をしたら思う存分労わって…。
「なんかあれみたい。親鳥が餌あげるやつ」
「…」
「どうした?」
恵の視線を追うと、そこにはニヤニヤしたその他男子が。
「それ。置いといてください」
怪我をした恵は勢いよく立ち上がって、3人の首根っこを掴んで睨みを効かせた。
(流石、元不良…)