第53章 本気で想う大切な人
「お疲れ様でーす」
「お疲れ。中入っても大丈夫?」
「へーきへーき」
嬉しいことに、何故か恵達の部屋にパンダと棘もいて、もう一部屋回る必要が無くなった。
「ひとまず、今日は迷惑かけてごめんなさい」
パンダはともかく、棘と悠仁に大きな怪我はない。
やはり、1番痛手を負ったのは
「…ごめんね、恵」
「なんで謝るんですか」
痛々しい湿布とガーゼ。
骨に異常がないことが幸いだけれど、打撲の数は知れない。
「そーだそーだ。俺のことも労れよ〜」
「アンタは何したの?」
「周辺の一般人、捌けさせた」
「…それは助かった、ありがとう」
労れと言った割に、眉を顰めるパンダ。
不快なら最初から求めるな。
「ツナマヨ」
「棘もありがとう。流石呪言師」
「しゃけ。……こんぶ、たかな?」
「私?」
棘が私を指さして、2、3回頷いた。
「千夏も呪言師だって聞いたから、その話が聞きたいって」
「あー、何か前も言われた気がする」
「後回しにするから、棘もキレてんだぞ〜」
「え、ごめん!」「おかか!」
みんなとはそれなりに関わってきたけど、棘とは任務の関係ですれ違うことが多くて中々時間が取れていなかった。
次こそは、と何度も先送りにした結果、1年が経過してしまったのだ。
「え、八乙女さんって狗巻先輩と同じ呪言師だったの?」
「言ってなかったっけ?」
「初耳…。え、あ、でも!前、五条先生が言ってたよ、術式は体に刻み込まれるとか何とか…。でも、今は呪言師じゃないんでしょ?え?え?どゆこと?」
…初めて悟が教師らしいことをしているのを聞いた気がする。
「千夏は少し変わってんだよ。例外」
「そーなの!?んじゃーさ、狗巻先輩と話す時俺も呼んでよ」
「別にいいけど」
つまらないと思うよ。
「それなら真希も呼ばねーと、あいつ怒るぞ」
「しゃけ」
そんな大層な話をする訳じゃないのに。
ここまで期待されると、なんだか申し訳なくなるし、それ相応の話をしないと怒られそうだ。