第53章 本気で想う大切な人
「ありがとう。悟は…」
「自分で乾かした」
「そっか」
少し考えればこの状況がかなりまずいことは簡単に分かる。
でも…
「…」
「…」
「…一緒に寝ていい?」
「いいけど……怖くないの?」
「そんなに気にしないでよ。私が悟のこと怖がると思う?」
気にするな、なんて無理なお願いだ。
あんなに最低なことは中々ないのに…。
「来て」
僕から奪ったドライヤーを無造作に置いた千夏は、ベットに這い上がって僕の服を引く。
布団の中に潜ると、千夏はひょこっと顔だけ出した。
「いつから寝れてないの?」
「いつだろうなぁ…」
「薬とか飲まないの?」
「冥さんに貰ったけど、合わなかったんだよね」
「げ…冥冥さんの薬とか危険な匂いがする」
「海外でたまたま会ってね」
それこそ怖いよ、と千夏が僕の体に身を寄せる。
「…そんなに寄られると厳しいんだけど」
「する?」
「………。あーだめだめ。我慢効かないよ」
ベットから降りようとしたけど、意志とは反対に勝手に体が千夏に覆い被さる。
「あ、ごめん。つい…」
「別にいいよ。悟がしたいならしよう」
違う、それがダメなんだって。
「約束と違うけど、我慢は良くないでしょ?」
だから…
「何その顔、ウケる」
千夏は僕の耳に手を伸ばした。
「私のこと襲ったから、一生しないつもりなの?」
「…一生は、無理」
「ん。私も無理」
いつの時も、どの時も。
僕の理性は千夏の前で無力だった。
「あ、でも…ゴムない」
「いーy」
「よくない」
腰に回しかけた手を自制する。
「別にいいのに」
「今、子供が出来たら辛いだけだよ」
「いいの」
千夏が服を脱ぐ。
「好き、大好き」
千夏のキスから逃れられなくて……逃れたくなくて。
「…優しくする、めっちゃ優しくするから」
「優しいだけじゃダメだよ」
千夏の腰に手を回す。
僕が自分に甘くなるのは、千夏が絡んだ時だけ。
「気持ちよくして」